実家じまいのマンション整理|後悔しない5つの手順と費用相場

不動産売却

親の高齢化や相続によって、「実家のマンションをどうすればいいのか」と悩んでいませんか?実家じまいは物理的な作業だけでなく、感情的な整理も必要な大変な作業です。特にマンションの場合は、一戸建てとは異なる独特の課題があります。

当記事では、不動産コンサルタントとして10年以上、200件以上の実家じまいをサポートしてきた経験から、マンションの実家じまいを成功させるための具体的な手順と注意点をお伝えします。これから実家じまいを検討している方が、時間とコストを最小限に抑えながら、スムーズに進められるようにサポートします。

この記事のポイントは、
・マンション実家じまいとは?
・一戸建てとの違いを解説
・3つの重要ステップで準備
・必要な書類を確認・収集

・5つの手順でスムーズに進行
・並行して各種手続きを
・費用を抑える5つのコツ
将来を見据えた選択を

この記事では、実家がマンションの場合の適正な手続き方法を解説します。後悔しないために手順と費用相場等を解説。

  1. マンションの実家じまいとは?一戸建てとの決定的な違い
    1. マンションの実家じまいの特徴
    2. 一方で、マンションならではのメリット
  2. 実家じまいのマンション整理を始める前の3つの重要ステップ
    1. 1. 家族間での方針合意
    2. 2. 必要書類の確認と収集
    3. 3. 専門家への相談
  3. マンション実家じまいの5つの具体的手順と期間
    1. ステップ1:物の仕分け(2〜4週間)
    2. ステップ2:不用品の処分(1〜2週間)
    3. ステップ3:清掃と修繕(1〜2週間)
    4. ステップ4:必要な手続き(並行して進行)
    5. ステップ5:売却または賃貸の準備(1〜3ヶ月)
  4. マンション実家じまいにかかる費用の相場と節約ポイント
    1. 費用の内訳と相場
      1. 1. 遺品整理・不用品処分費用
      2. 2. 清掃・修繕費用
      3. 3. 各種手続き費用
    2. 費用を抑えるための5つのポイント
      1. 1. 複数業者から見積もりを取る
      2. 2. 自分でできる作業は自分で行う
      3. 3. 段階的に進める
      4. 4. リサイクルショップや買取サービスを活用
      5. 5. 自治体のサービスを利用する
  5. マンション実家じまい後の選択肢:売却か賃貸か相続か
    1. 選択肢1:売却する
      1. メリット
      2. デメリット
    2. 選択肢2:賃貸に出す
      1. メリット
      2. デメリット
    3. 選択肢3:家族が相続して使用
      1. メリット
      2. デメリット
    4. 選択を左右する主な要素
      1. 1:マンションの立地と市場価値
      2. 2:家族の将来計画
      3. 3:資金ニーズ
      4. 4:税金対策
  6. まとめ:実家じまいのマンション整理を成功させるために
    1. マンション実家じまいの重要ポイント

マンションの実家じまいとは?一戸建てとの決定的な違い

マンションの実家じまいは、親が住んでいたマンションを整理して、売却・賃貸・相続などの次のステップに進める準備作業です。一戸建ての実家じまいと比較すると、いくつかの重要な違いがあります。

マンションの実家じまいの特徴

  • 搬出経路の制限が厳しい:エレベーターや階段を使用するため、大型家具の搬出に制約があります。特に古いマンションでは、エレベーターが小さく、家具が入らないケースもあります。
  • 管理組合への手続きが必須:一戸建てと違い、管理規約に従った作業時間や方法の遵守が必要です。また、事前に管理組合への連絡も欠かせません。
  • 近隣への配慮がより重要:上下左右に住人がいるため、騒音などについての配慮が一層求められます。

一方で、マンションならではのメリット

  • 解体工事が不要:建物自体の解体費用がかからないため、その分のコスト削減になります。
  • 庭や外構の処理が不要:一戸建てでは庭木の処分や外構の片付けも必要ですが、マンションではそういった作業がありません。
  • 水道や電気などの引き込み工事の解約処理が簡易:一戸建てより手続きが少なく済みます。

実例として、私がサポートした70代の方のケースでは、足腰が弱くなった親御さんが4階建てのエレベーターなしマンションに住んでいました。大型家具の搬出は専門業者に依頼し、管理組合とも事前に十分な調整を行ったことで、近隣トラブルなく実家じまいを完了できました。

マンションの実家じまいは、これらの特性を理解した上で計画的に進めることが成功の鍵です。

実家じまいのマンション整理を始める前の3つの重要ステップ

実家のマンションじまいを始める前に、必ず行うべき準備があります。この準備段階をしっかりと行うことで、後々のトラブルや手戻りを防ぐことができます。

1. 家族間での方針合意

実家じまいを進める前に、家族全員の合意を得ることが非常に重要です。特に以下の点について話し合いましょう

  • マンションの処分方法:売却するのか、賃貸に出すのか、家族の誰かが住むのかを決めます。
  • 残す物と処分する物の基準:何を残し、何を処分するかの判断基準を事前に決めておきます。
  • 費用負担の方法:実家じまいにかかる費用を誰がどのように負担するかを明確にします。

「ある相続案件では、事前の話し合いをせずに実家じまいを始めたところ、兄弟間で思い出の品の処分をめぐって深刻な対立が生じ、最終的に関係が悪化してしまいました。事前の合意があれば避けられたトラブルでした。」

2. 必要書類の確認と収集

マンションの実家じまいには、様々な書類が必要になります。以下の書類を準備しましょう

  • 権利証(または登記識別情報):マンションの所有権を証明する書類
  • 固定資産税納税通知書:税金関係の手続きに必要
  • 管理規約と使用細則:マンションの規則を確認するため
  • マンション修繕履歴や管理費の支払い状況:売却時の価値判断材料になります

「これらの書類が見つからないケースも多いですが、焦らず計画的に探すことが大切です。特に権利証は再発行に時間と費用がかかるため、最優先で探しましょう。」

3. 専門家への相談

実家じまいは、法律・税金・不動産など多岐にわたる専門知識が必要です。早い段階で以下の専門家に相談することをおすすめします

  • 不動産会社:マンションの現在価値や売却時の注意点
  • 税理士:相続税や譲渡所得税の対策
  • 遺品整理業者:物の仕分けや処分の効率的な方法

「相談することで想定外の節税対策が見つかるケースも多いです。あるケースでは、事前に税理士に相談したことで、3,000万円の特別控除を活用でき、譲渡所得税を大幅に削減できました。」

事前準備をしっかりと行うことで、実家じまいの作業がスムーズに進み、家族間のトラブルも防ぐことができます。準備には1〜2ヶ月かけるのが理想的です。

マンション実家じまいの5つの具体的手順と期間

実家のマンションじまいは、計画的に進めることでスムーズに完了させることができます。以下の5つのステップで進めましょう。

ステップ1:物の仕分け(2〜4週間)

まず最初に行うべきは、マンション内の物の仕分けです。

  • 4分類で整理する:「残す」「売却する」「寄付する」「処分する」の4つに分類
  • 部屋ごとに計画的に進める:一度に全部屋を始めず、1部屋ずつ片付ける
  • 写真で記録を残す:特に思い出の品は、処分前に写真に収めておく

「物の量が多い場合は、週末だけでは終わらないことも多いです。一日8時間作業で、2LDKのマンションでも2〜3週間はかかると考えておきましょう。」

ステップ2:不用品の処分(1〜2週間)

仕分けが終わったら、不用品を適切に処分します。

  • 粗大ゴミの予約:自治体によって予約方法や回収可能な大きさが異なるため事前確認
  • リサイクルショップの活用:状態の良い家具や家電は買取可能か確認
  • 専門業者への依頼:大量の不用品がある場合は一括処分を検討

「マンションの場合、エレベーターや階段のサイズによって搬出できない家具もあります。その場合は、解体してから搬出するなどの対応が必要になります。」

ステップ3:清掃と修繕(1〜2週間)

不用品を処分した後は、マンションの清掃と必要に応じた修繕を行います。

  • 専門清掃:特に台所やバスルームなどの水回りは専門的な清掃が効果的
  • 簡易リフォームの検討:壁紙の張替えや床の修繕など、売却価値を上げるための対策
  • 設備チェック:給湯器やエアコンなどの動作確認と必要に応じた修理

「販売目的の場合、全面リフォームよりも、部分的な修繕と徹底的な清掃の方がコストパフォーマンスが良いケースが多いです。」

ステップ4:必要な手続き(並行して進行)

物理的な整理と同時に、各種手続きも進めていきます。

  • 住民票の異動:亡くなった場合は除籍、引っ越した場合は転出届
  • 公共料金の解約または名義変更:電気・ガス・水道・インターネットなど
  • マンション管理組合への連絡:管理費の精算や名義変更の手続き
  • 郵便物の転送手続き:郵便局での転送届の提出

「マンションの場合、管理組合への連絡が特に重要です。管理費や修繕積立金の滞納があると、売却時にトラブルになることがあります。」

ステップ5:売却または賃貸の準備(1〜3ヶ月)

最後に、マンションの今後について具体的な手続きを進めます。

  • 複数の不動産会社での査定:最低でも3社以上に依頼して比較
  • 売却または賃貸の決定:査定結果や家族の意向を踏まえて最終決定
  • 必要書類の準備:権利証、固定資産税納税証明書などの準備
  • 契約と引き渡し:最終的な契約手続きと鍵の引き渡し

「マンションの場合、管理状態や修繕積立金の額、大規模修繕の予定なども売却価格に影響します。これらの情報も不動産会社に伝えましょう。」

マンションの実家じまいは、全体として最短で2ヶ月、通常は3〜6ヶ月程度かかると考えておくと良いでしょう。焦らず計画的に進めることが大切です。

マンション実家じまいにかかる費用の相場と節約ポイント

実家のマンションじまいにかかる費用は、状況によって大きく異なります。実際の費用相場と、コストを抑えるポイントをご紹介します。

費用の内訳と相場

1. 遺品整理・不用品処分費用

  • 2LDK〜3LDKの標準的なマンション:15〜30万円
  • 物が多い場合:30〜50万円以上
  • 特殊清掃が必要な場合(孤独死や害虫発生など):追加で10〜30万円

2. 清掃・修繕費用

  • 一般的な清掃のみ:5〜10万円
  • クロス張替えなどの簡易リフォーム:30〜80万円
  • 水回りも含めたフルリフォーム:100〜300万円

3. 各種手続き費用

  • 不動産登記関連:3〜10万円
  • 相続関連手続き(司法書士依頼の場合):10〜30万円

「実際に私がサポートした案件では、3LDKのマンションで物が比較的少なく、簡易リフォームを行った場合、合計で約60万円でした。一方、物が多く、水回りのリフォームも行った別のケースでは、総額140万円ほどかかりました。」

費用を抑えるための5つのポイント

1. 複数業者から見積もりを取る

  • 最低でも3社以上から見積もりを取り、比較検討しましょう
  • 内訳を細かく確認し、追加料金が発生する条件を事前に確認

2. 自分でできる作業は自分で行う

  • 物の仕分けや小さな不用品の処分は自分で行えば費用削減可能
  • ただし、時間と労力のバランスを考慮することも重要

3. 段階的に進める

  • 全て一度に依頼するのではなく、必要な作業から優先順位をつけて進める
  • 例:まず不用品処分だけ依頼し、清掃は売却が決まってから検討

4. リサイクルショップや買取サービスを活用

  • 状態の良い家具や家電、ブランド品などは買取可能なことも
  • 処分費用の削減と同時に、少額でも収入になる

5. 自治体のサービスを利用する

  • 自治体によっては、高齢者の住まいの整理に補助金がある場合も
  • 粗大ゴミの収集も、業者より自治体の方が安価なことが多い

「あるケースでは、全て業者に依頼すると見積もりが90万円だったところ、自分でできる部分は自分で行い、複数の業者を組み合わせることで、最終的に55万円まで費用を抑えることができました。」

実家じまいの費用は決して安くはありませんが、計画的に進めることで、無駄な出費を抑えることができます。ただし、あまりにコスト削減に固執すると、体力的・精神的な負担が大きくなることもあるため、バランスを考えることが大切です。

マンション実家じまい後の選択肢:売却か賃貸か相続か

実家のマンションじまいを終えた後、そのマンションをどうするかは重要な決断です。主な選択肢とそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

選択肢1:売却する

メリット

  • まとまった現金が手に入る
  • 管理の手間や費用(管理費・修繕積立金など)から解放される
  • 相続税の支払いに充てられる

デメリット

  • 将来的な資産価値の上昇機会を失う
  • 売却にかかる諸費用(仲介手数料など)が発生
  • 譲渡所得税が課税される可能性がある

「築20年の駅徒歩10分のマンションを売却したケースでは、2,500万円で売却でき、相続税の支払いに充てることができました。ただし、売却費用と譲渡所得税で約300万円のコストがかかりました。」

選択肢2:賃貸に出す

メリット

  • 継続的な家賃収入が得られる
  • 資産として保有し続けられる
  • 将来的な利用可能性を残せる

デメリット

  • 空室リスクがある
  • 管理の手間がかかる(管理会社に依頼する場合は費用が発生)
  • 修繕や設備更新などの追加コストが発生する可能性

「駅近の好立地マンションを賃貸に出したケースでは、月8万円の家賃収入を得ることができました。管理会社への委託費用(家賃の5%)を差し引いても、年間約90万円の収入となりました。」

選択肢3:家族が相続して使用

メリット

  • 家族の住居として活用できる
  • 新たに住居を購入する費用を節約できる
  • 思い出のある場所を維持できる

デメリット

  • 相続税の評価対象になる
  • 共有名義にした場合、将来的な意思決定で揉める可能性
  • 立地や間取りが現在のニーズに合わない可能性

「子どもが実家のマンションを引き継いで住むことにしたケースでは、新たに住居を購入する必要がなくなり、経済的な負担を減らすことができました。ただし、リフォーム費用として約100万円がかかりました。」

選択を左右する主な要素

以下の要素を考慮して、最適な選択をしましょう

1:マンションの立地と市場価値

  • 駅近や利便性の高い場所なら、売却価格も賃貸収入も期待できる
  • 築年数が古く、大規模修繕が近いなら売却を検討

2:家族の将来計画

  • 子どもや親族がそのマンションに住む可能性があるか
  • 資産として保有する必要性があるか

3:資金ニーズ

  • まとまった資金が必要かどうか
  • 継続的な収入源が欲しいか

4:税金対策

  • 相続税や譲渡所得税の影響
  • 不動産所得の確定申告の手間

「どの選択肢が最適かは、個人の状況によって異なります。不動産会社や税理士などの専門家に相談しながら、家族でよく話し合って決めることをおすすめします。」

選択肢ごとに長所と短所があるため、自分たちの状況や優先順位に合わせて判断することが大切です。

まとめ:実家じまいのマンション整理を成功させるために

実家のマンションじまいは、物理的な整理だけでなく、感情的な整理も必要とする大きなプロジェクトです。この記事のポイントを振り返り、実家じまいを成功させるためのヒントをまとめます。

マンション実家じまいの重要ポイント

  1. マンション特有の特徴を理解する:搬出経路の制限、管理組合への手続き、近隣への配慮など、マンション特有の制約を事前に把握しましょう。
  2. 準備段階を丁寧に行う:家族間での方針合意、必要書類の収集、専門家への相談など、準備段階をしっかり行うことで後々のトラブルを防ぎます。
  3. 段階的に進める:物の仕分け、不用品処分、清掃・修繕、各種手続き、売却・賃貸準備という順序で計画的に進めましょう。余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。
  4. 費用対効果を考える:全て業者に依頼するのではなく、自分でできる部分は自分で行い、複数の業者から見積もりを取るなど、コスト削減を工夫しましょう。
  5. 将来を見据えた選択をする:実家じまい後のマンションをどうするかは、家族の状況や将来計画、資金ニーズなどを考慮して決めましょう。

「実家じまいは一生に数回あるかないかの経験です。焦らず、計画的に、そして家族と協力して進めることが大切です。専門家のサポートも適宜受けながら、後悔のない形で実家じまいを完了させましょう。」

この記事を参考に、マンションの実家じまいをスムーズに進め、次のステップへと進んでいただければ幸いです。何か不明点や追加の質問があれば、いつでもお問い合わせください。私たちのコンサルタントが個別にアドバイスさせていただきます。

実家じまいという大変な作業に向き合うあなたを、心から応援しています。

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